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仙台を拠点に活動するNPO法人アートワークショップすんぷちょの活動ブログです。

なぜ生きるためのダンスなのか?~すんぷちょ舞台公演2016の稽古で見えてきたこと~

すんぷちょ公演間近となり、稽古も舞台仕込みも佳境に入っています。
本番近くなってくるともちろん、作品の仕上がりもぐぐっと良くなったり、キュンとする場面がいくつもあったり、日々進化していくのですが、それだけではない出演者の成長を感じる瞬間も、みなさまにお伝えしたいすんぷちょのクリエイションの良さの一つです。
そしてそれが、今回のチラシで「生きるためのダンス」と称した理由の一つです。

      

今日の通し稽古(途中でとめずに初めから通してやってみること)でのこと。
毎回すんぷちょの作品には子どもを連れたお母さんが参加してくれます。私も去年の舞台に0歳9ヶ月の娘と出演しましたが、子どもの年齢によって、作品中では子との関わり方が違ってきます。

基本的には子どもたちは自由にしています。
パフォーマンスに必ず参加しなくてはいけない、一緒に振り付けを踊らなければならない、ということはありません、特に低年齢の子どもたちはパフォーマンスする出演者と客席空間を縦横無尽に走り回ったり、かと思えばしっかり作品に関わっていたり、入ったり出たりを自由に行き来しています。


でもそれは完全に目を離しているということではありません、むしろ逆で大人が作品に集中しつつも意識の端でつねに子の動きを感じていて、また関わり合い方を工夫しながらうまく作品に誘導したりもしま
す。でも強制はしない。この絶妙なバランスをとりながら、とりわけ子連れのママたちは参加してくれているのでした。これちょっとしたトレーングが必要だったりします。
        
今回の出演者Aさんと、娘のBちゃんは2014年のひゃくねんモンスター、2015年ぶこきがアンサンブルに続き3作品目の出演ですが、今年小学校にあがったBちゃんは去年までのBちゃんとちょっと違いました。主張もはっきりしてきたBちゃん。稽古中にぐずることもあります。ママは去年までの関わり合い方では、対応しきれない、と悩んでいました。今回が一番難しいと。

そんなAさん、今日の通し稽古のあとみんなに言いました。
「みんなに改めて確認したいんだけど、Bちゃんのことみんなに任せていいのかな?みんなのところにふっと行ったとき受け入れてもらって、一緒にパフォーマンスにうまく誘導してくれるかな?改めて聞いてみたくて。」

他の出演者からは「もちろん!」の一言!
小学3年生のメンズからは「まかせて!」の頼もしい一言!

人に頼るって簡単なようでいて難しい。子を放つ、自由に、それは周りを信頼している証拠。
そしてママにも勇気がいる。

  
こういう一人の決意の瞬間に立ち会えることが、なんと尊くて美しいのだろうと思います。
そしてこのチームの優しさもまた、とてつもなく頼もしくてかっこよくて誇れることだなと思います。

14人の出演者、14通りの決意や新しい一歩が、いくつもちりばめられている作品です。
しかも毎回違うドラマが起こる!

1人でも多くの方に、いまの時代に、観てほしいと願っています。
ご来場心よりお待ちしております。

チケットご予約はこちら!
すんぷちょ舞台公演2016「FRaGment」
日程:2016年9月22日(木)~25日(日)
場所:せんだい演劇工房10-BOX box-1

振り付け・構成・演出原案:レイチェル・スミス  構成・演出:西海石みかさ
振り付け補助:渋谷裕子 音響:本儀拓(KIWI SOUND WORKS) 照明:高橋亜希 舞台監督:山澤和幸 美術:大沢佐智子 宣伝美術:三月文庫 制作:佐々木一美 プロデューサー:及川多香子