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仙台を拠点に活動するNPO法人アートワークショップすんぷちょの活動ブログです。

「障害」ってどこにある?ーアクセシビリティワークショップ開催しましたー

私たちNPO法人アートワークショップすんぷちょは、日ごろから多くの障害を持つ方々と、作品の創作や団体運営を行っています。しかし、「障害」ということについて、改めて学ぶ機会は多くありません。
今年4月に「障害者差別解消法」が施行され、改めて団体として「障害」の捉え方について学ぼう!ということで、会員の方や事務局ボランティアの方を対象に内部研修を行いました。

会場は宮城県障害者福祉センター。4名の職員の方も一緒に参加して下さいました。

講師はダンサー振付家、演出家でもあり、長年、障害児教育にも携わってきた西海石みかささんです。
ワークショップはイギリスで障害者のアート活動を80年代から実践しているシェイプ・アーツという団体が3月に東京で行ったワークショップを参考に組み立てられました。
このシェイプ・アーツという団体、ロンドンオリンピックパラリンピックでアートプロジェクトを担った、歴史、実力共にある団体です。

アクセシビリティというのは「アクセス」のしやすさ、ということですが、私たちアートを活動の中心に置く団体として劇場や文化施設へのアクセスは障害者にとって本当に考えられたものなのか。という視点からワークショップは始まりました。
ワークショップの目標は3つ。

「障害の社会モデルを理解する」

「色んなコミュニケーション方法が出来るようになる―言葉―」

「これから実践するアクションポイント」

このワークショップの肝は、障害を「医学的な障害」と「社会的な障害」に分けたとき、後者に視点をあてることで社会にある障害は減らしていけるのではないかということ。そのためには普段「障害」と感じていたり、言われていることを社会モデルに変換してみるということでした。


(言葉だけで相手に上着を着せる「ことば」のワーク)

例えば、「ジョンは車椅子を使っているので、3階に上がることができません」を社会モデルに置き換えると、「この建物にはエレベーターが無いため、ジョンは3階まで上がることができません」となります。ジョンの足に障害があるのではなく、エレベーターがない建物が社会モデルとして障害である、という考え方です。
グループに分かれた参加者は、日常にある障害を取り上げ、最終的にはそれを社会モデルに変換して、文章を組み立ててみました。
頭では理解していても、この置き換えがなかなか難しい。文章にするというのは、人に伝わるように置き換えなければなりません。普段の視点がいかに効率化のために均一化した社会を中心に置いているかを実感しました。
参加者の一人、障害児を持つお母さんの感想には「社会モデルへ考え方をチェンジするのが難しい。周りや社会が変われば、障害という言葉もなくなるのではないかと思いました」とありました。

(ことばだけで着せるのは難しい!と頭を抱える参加者)

2時間半のワークショップはあっという間でした。やはり座学比べ、グループワークや身体や声を使って理解するワークショップ形式の方が記憶に残りやすいなと感じました。

このアクセシビリティ・ワークショップは今後、一般の方を対象に開催していく予定です。
社内研修や施設職員への研修など、ご要望があればぜひ一緒に開催していきたいと思いますので、お問い合わせくださいませ。(おいかわたかこ)